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2011年4月6日 陶芸

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こちらも休暇前最後の陶芸教室。
出来上がりをアップできるはずだったお地蔵様ですが・・・

前掛けと頭巾に使った赤が流れてしまい、再度、塗りなおすことに。
どうも選んだ釉薬がよくなかったようで、先生から、粘着質で色のりもいい別の赤を勧められました。
次回はうまくいくかなぁ。




話は変わって、今日は前々からチェックしていたエルジュビエタ・ステファンスカさんのコンサートの日でした。
会場はパリのアダム・ミツキェヴィッチ図書館(通称:ポーランド図書館)。

ステファンスカさんは、ポーランド有数のクラヴサン奏者。
私もクラクフにいた頃、彼女の演奏会にはよく足を運びました。
プログラムの主流は、ルネッサンス期やバロック期のヨーロッパ舞踊。

綿密な研究、考え抜かれた解釈、ヴィルトゥオーゾ的とも言えるくらい高度な演奏技術が下敷きになっている
のに、聴いている者にはまったくそれを感じさせない・・・そんなステファンスカさんの演奏が大好きでした。

すでに若いとはいえない年代だし、フランスに来てからぜんぜん聴く機会がなかったので、少し不安だったの
ですが、最初の音を聴いたとたん、そんな杞憂は見事に吹っ飛びました。

音楽への集中力、目くるめくようなリズム、輝きのある多彩な音色、まったく衰えを感じさせないテクニック・・・
ふと気づいた時は、楽器も演奏家の姿も眼前から消え失せ、音楽に没頭していました。
私の隣に座っていたFも、「クラヴサンってこんなに表現豊かな楽器だったんだね」と半ば呆然とした面持ち。


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どの曲も本当によかったけれど、一番印象に残ったのは、バッハの「フランス組曲」。
ものすごく深いのに、突き抜けたような不思議な明るさがある・・・

年を重ねるにつれ、演奏に円熟味が増していく。
以前と変わらずエネルギッシュな、でも前よりずっと豊かで深みのある演奏。
久しぶりに本当の音楽を聴いた気がします。

終了後、ステファンスカさんにコンサートのお礼を言うと、「ご家族は大丈夫?」とまず聞かれました。
「おかげさまで、皆、無事でした」と答えると、

「それはよかったわ。そうそう、私、7月に日本でコンサートを開くのよ。」

「日本は今、大変な状況だけど、きっと皆、ステファンスカさんの音楽に励まされると思います」と感謝の気持ち
をこめて言葉を返すと、

「何、言っているの。励まされるのは私の方よ。日本で弾くのは、私にとって大きな喜びなのだから・・・」

これを聞いたとたん、演奏会の間、やっとのことで押さえていた涙がまた湧き上がってきて困りました。

この日の陶芸教室で、「汚染されたのは日本の近海だけってことになっているけど、汚染された魚がヨーロッパ
まで泳いできたらどうなるのよ」とか、「日本のせいで放射能が世界中に垂れ流されて困るわ」なんていう心ない
言葉を耳にし続けていたせいかもしれないけど・・・


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私の仏語の先生で、大の日本びいきのC夫人は、田舎で療養中、日本の地震を知ったそうですが、

「周りの人と悲しみを分かち合いたいと思っても、誰もわかってくれないから辛かったわ。フランス人は自分の
ことしか考えていない。日本では今でも津波や地震のせいで苦しんでいる人たちがたくさんいるというのに。
この前なんて、今まで知的な人だと思っていた知り合いから電話がかかってきて、『日本の海に放射能が
流れこんでいるらしいけど、レストランでお寿司を食べるのは控えた方がいいかしら』って聞くのよ。これには
もう、怒り心頭に達したけど、出来るだけ冷静に、『あなた、フランスの日本料理店が、わざわざ日本から鮮魚
を取り寄せているとでも思っているの?』って言ってやったわよ」

と、いつも温和な彼女には珍しく激怒していました

もちろん、フランスでも、人それぞれ見方が違うし、皆が皆、日本の事故を自分本位に見ているというわけでは
ないのだけど、それでも最近、同情より批判を耳にする機会が増えている気がします。

「早く事故が収まって欲しいわ。日本だけじゃなく、フランスのためにも・・・」と言われたことも。

私自身、「日本大好き」というタイプでは全然ないし、それどころか、日本の政治や国民性、教育システムに
ついて、かなり辛らつに批判していた方だけど、それでも、これほどの大惨事のさなか、「日本のせいで世界
中が迷惑をこうむっている」という意見を聞くと、正直、かなりへこみます。

よりによって、原発依存率80パーセントの国に言われたくない、という気持ちもあるし・・・

本来は陶芸教室とコンサートのことだけ書いて終わるはずだったのに、だんだん怒りが募ってきて、とんでも
ない方向に話が飛んでしまいました。


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C夫人が日本語で書いた手紙にこんな一説がありました。

「でも、命はつづきます
私たちは 生きなければなりません
サクラは まいねん 咲きます
こどもは まいねん 生まれます」

つたないけれど、心のこもった文章に胸を打たれました。
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by yokusia | 2011-04-12 17:03 | アート
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